米国再入門!~アメリカってどんな国?~2

2012Jan.10

前回にも述べましたが、WASPとはWhite Anglo-Saxon Protestantの略称で、アメリカ合衆国の建国において中心的な役割を果たした人々です。しかし、現在その存在は、米国全体の人口から見るとごくわずかな比率となりました。

一方で、米国の商務省・国勢調査局(U.S.Census Bureau)によると、2010年時点で黒人(Black, Negroes)と呼ばれる人々は全体の13.6%に達しています。またメキシコ、ヨーロッパ・アフリカ、アジアなどの国々から来た人々も非常に増えています。今日のアメリカ社会では、Black とWhiteなど多様な人種が混在する中で仕事をする・教育を受ける、そんな風景がよく見受けられるようになりました。

元々Blackと呼ばれる人々はアメリカの限られた地域で生活していました。いわゆるDark-skinned(皮膚の色が違う)の人々は未だに住んでいる地域社会や職場、学校などで差別(Racial prejudice)を受けている現実があります。なかなか心の安まる時代はこないようです。

人種による差別は今も昔も存在し、平等な社会は夢に過ぎないのかもしれません。長きにわたって平等が叫ばれているにも拘わらず、多くの地域であらゆる分野においてWhite とBlackの関係は平等を欠いています。

しかし希望が全くない、というわけでもありません。公共の場所では、互いにシェアできる環境が整ってきています。特に若い世代の間では、お互いを信用し社会的関係を進歩させねばならない、という意識が着実に増えてきているようです。

また見逃してはならないのは、少なくないBlackの人々が高等教育を受け、弁護士や政治家、スポーツ選手、会社経営者などとして高い社会的地位を得て、経済的にも成功している事実です。

Housing(住宅)の観点から見ても、一昔前にはWhiteしか住めなかった地域でアパートを借りたり、また住宅を購入して、自分の子供達をWhiteの通う学校に入れ、近所つきあいを密にしながら社会生活をおくる様子が珍しくなくなりつつあります。

根強い人種差別はあるものの、10年前と比較すれば状況は少しずつ変化しているようです。第44代の合衆国大統領にオバマ氏が選ばれたのもそうした変化の一つといえるのではないでしょうか。