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アメリカ再入門!~アメリカってどんな国?~

Introduction ~発想転換~

日本語を英語に直訳しても充分な意志伝達は出来ません。 勿論、ある程度は伝わりますが、つれない表現になってしまいます。何故なのでしょうか?

それは、英語と日本語の成り立ちと、その背景にある歴史、文化、習慣、環境、思考や発想等々の違いに起因するといえるでしょう。 この悩みは、外国語を学び始めると、誰しもが遭遇するものです。

日本語を英語に直訳するだけであれば、翻訳ソフトに任せればこと足ります。 しかし、言葉が人間の意思伝達の手段である以上、色々なな要素(正確さ、やさしいさ、思いやり、感情、表情や態度等々)を加味し、思考しながら使う必要があります。

では、どうすればいいのでしょうか? ここで重要なのは、英語を日本語で理解するのではなく、発想を転換して英語を英語のまま理解するということです。 下記の英文をみてください。

  1. May I help you?
  2. Who's calling, please ?
  3. Where are you from?
  4. Who am I speaking to?
  5. My name is Mr.Sato.
  6. What can I do for you?
  7. What' up?
  8. What' the matter with you?
  9. Can I take a message?
  10. He is on another line.
  11. He is not at a desk.
  12. He is out for lunch.
  13. She is on vacation.
  14. He is on a business trip
  15. I don't think it will rain tomorrow.

いずれも簡単な英文ですが、これらをとっさに自然な日本語へと置き換えることができますか?

英語を日本語に、また日本語を英語に言い換える時に大切なことは、その語句の本来の意味、つまりニューアンス(nuance = shade of meaning)を知ることです。 言葉にはshade(陰)、すなわち光が遮られて見えにくい部分があり、そこにその言葉本来の意味であるニューアンス(nuance = shade of meaning)があると私たちは考えています。 そして、その部分をそのままに理解することで、自由な意志伝達することが出来るようになるのではないでしょうか。 つまり、英語であれば英語のまま理解するということです。 日本語の意味を英語で正確に伝える場合、又その逆においてもこのことが非常に重要な意味を持ちます。

多種多様な英語表現の語句本来の意味合い(nuance)を理解するのは難しいことですが、基本でもあります。 英語の訓練をする場合、英語本来の意味合い(nuance)を追求し、日本語的発想を持ち込まない姿勢が大切です。

もちろん訓練初期の段階では、英語を聞いてそのまま英語で考えることは大変難しい作業といえるでしょう。 しかし、これは訓練の積み重ねにより必ず達成できます。いずれは意識せずとも英語本来の意味合い(nuance)を理解できるようになります。 こうした「出来るようになっていく過程」を体感するのも、大変楽しいものです。

それでは、たゆまない努力を欠かさず、英語をそのまま理解できる楽しい?未来がやって来ることを願って!!

 

※上記例文の日本語訳とポイント

1の「May I help you?」 が何故「いらっしゃいませ」となるのか?

直訳すれば「May I~」は「私はできますか~?」、「help you」は「貴方を助ける」となるので、全体としては「私は貴方を助けることができますか」という表現になります。しかし、どうもしっくりきません。

そこで発想を転換して、「May I~?」や「help you」の陰の部分にある本来の意味、すなわちニューアンス(nuance = shade of meaning)を考えてみましょう。 そうすると「貴方を助けることができる→貴方のお役に立つことができる」という相手の立場に配慮した表現であることがわかり、「いらっしゃいませ」という一番しっくりくる日本語が導き出されます。

もちろん英語にも「いらっしゃいませ」「ようこそ」を直訳した「welcome」という言葉はありますが、初対面の人にかける言葉としては、一般的に「May I help you?」が適切です。

10の「He is on another line.」は直訳すると「彼はもう一つの線にのっている」という意味不明な文章になります。 では英語的発想で考えてみましょう。 「line」は線と訳しますが、ここでは回線、つまり「電話」を指し、「another」は「もう一つの」と訳します。 これらを組み合わせると「もう一つの電話→別の電話」と訳すことができます。

もうお分かりでしょうか。彼は「別の電話」で話している、つまり「彼は話し中(電話中)です」という意味になります。 この文章で最も重要なのは前置詞「on」です。 「on」の陰に隠されているニューアンス(nuance = shade of meaning)には何十種類もの用法があり、非常に難解です。 しかし、ここを十分に理解していなければ、とっさに正確な日本語訳は出てきません。「on」はよく使われる前置詞なので是非押さえておきましょう。

  1. May I help you? (いらっしゃいませ。)
  2. Who's calling, please? (どちら様ですか? / どちら様でしょうか?)
  3. Where are you from? (どこのお生まれですか? [出身地を聞く] )
  4. Who am I speaking to? (2より更に丁寧な尋ね方)
  5. My name is Mr.Sato. (私は佐藤と言います。 [初対面で使う] )
  6. What can I do for you? (ご用件は何ですか?)
  7. What's up? (何かある? [親しい間柄] )
  8. What's the matter with you? (どうしましたか?)
  9. Can I take a message. (ご用件をお聞きしましようか?)
  10. He is on another line. (彼は電話中です。 / 彼は話し中です。)
  11. He is not at a desk. (彼は席を外しています。)
  12. He is out for lunch. (彼は昼食に行っています。)
  13. She is on vacation. (彼女は休暇中です。)
  14. He is on a business trip. (彼は出張しています。)
  15. I don't think it will rain tomorrow. (明日は雨が降らないと思います。 [雨が降ることを否定している文章])